島根で頑張る人

『島根で頑張る人』は県内で活動する人にスポットを当て、考え方や経験から活動に迫るコーナーです。スタッフの「学び」も兼ねて取材させていただいています。

しまねで頑張る人イメージ

お客さんの笑顔が原動力

出雲市平田地域で毎年10月、700人以上の来場者を集め、地元で注目される人気の「えくぼニコニココンサート」。主催しているのは、「音楽で笑顔を届けます」をモットーに音楽ボランティア活動をする「えくぼ」だ。代表の荒木さんは、「えくぼ」のバンドメンバーのリーダーで、ギターを担当している。

荒木さんの活動は、昭和60年に職場の仲間と、弥栄老人ホームで演奏をしたことから始まり、35年続いている。

「ずっと同じことばかりでは飽きられるし面白くない。ちがう事をして喜ばせたい」と楽器演奏だけでなく日本舞踊、皿回し、ドジョウすくいなど様々な演芸をする人たちを巻き込みながら、福祉施設等を慰問し活動してきた。

最近は特に「人形劇」に力を入れている。どんな題材で何を演じるか、シナリオも人形もすべて荒木さんの手作りだ。音楽に合わせてコミカルな動きをする「えくぼ人形劇場」は保育園でも大人気でリクエストも多いという。

荒木さんは、活動を続ける上で大切な事について、「まずは人集め、次はお金だ」と話す。日頃から地域のイベントに積極的に出向き、メンバースカウトの機会をうかがっている。祭りやカラオケ大会で上手に歌う人や、「自分は昔、フルートを吹いていました…」という司会者の何気ない一言にも反応し、近づいて声をかけ名刺を渡す。荒木さんは行動が早い。そして躊躇がない。

銀座でも、ストリートピアノでビートルズの曲を弾いていた女性に、「島根でピアノを弾いてもらえませんか?」と有名なジャズピアニストだと知らずに声をかけた。「この素敵なピアノの音色を(地元の)みんなにも聞かせてやりたい」と思ったのだ。この出会いがきっかけで、次のコンサートの特別ゲストが決定した。

そのアンテナは人だけではなく、資金集めにおいても同じだ。「いきいき広場の助成金情報は毎日見とるよ」と荒木さん。まずは情報収集、次に自分たちの活動が該当するか担当者に問い合わせてみる。担当者と話しているうちにヒントをもらえることも多いのだという。申請の準備は大変だが、お客さんの笑顔と「ありがとう」が荒木さんの原動力となって、これまで様々な支援を受け、楽器を揃えたりコンサートの費用に充てることが出来ている。

人とのつながりを大切に、これからも音楽を通じて地域を明るく笑顔にしていく、これが荒木さんの変わらないスタイルだ。

(T)