島根で頑張る人

『島根で頑張る人』は県内で活動する人にスポットを当て、考え方や経験から活動に迫るコーナーです。スタッフの「学び」も兼ねて取材させていただいています。

しまねで頑張る人イメージ

隠岐を使って、隠岐で遊ぶみんなでつくるゲストハウス

今回ご紹介する頑張る人は、隠岐の島町北部の静かな漁村中村集落で築120年超の古民家を利用したゲストハウス「佃屋」を切り盛りする、明るくエネルギッシュな大将、古川咲季さん。(以下、大将)

短期のリゾートバイトで来島し、隠岐の雄大な自然に触れてこのまま隠岐に住み続けたいと思うようになり、そのままIターンしたという。そのとき思い浮かんだのが若者の一人旅や外国人旅行者を受け入れるゲストハウスだった。

隠岐に移住してから1年もたたずにゲストハウスを開業できたのは、「地域の皆さんを始めとした周りからの応援だった」と大将は話す。バイトをしていたホテルの社長にゲストハウス開業の相談をすると、「若い人が新しいことに挑戦するのは良いこと」と社長の友人である佃屋の大家さんを紹介してもらえた。開業に向けた資金は助成金とクラウドファンディングを使って調達。

クラウドファンディングで応援してくれた人たちの多くは隠岐や島根にゆかりのある人で、隠岐で新しいことを始める若者に「隠岐を元気にしてほしい」と願いをこめて応援してくれた。62名から目標を超える53万8千円が集まった。その他にも、島の人たちがそれぞれの特技を活かしながらサポートしてくれたおかげで、みんなでつくったゲストハウス「佃屋」は開業できた。開業にあたってはホームページやFacebookでの告知だけだったがクラウドファンディングの成功でメディアに取り上げられるなど注目を集めての開業となった。

開業して4年が経過し、佃屋には色々な人たちが集まってくるようになった。優良な天然資源に恵まれた「隠岐」というツールを使って、「いかに楽しむかはあなた次第」という想いのもと、海・山・アウトドア・料理など、地元の遊びの達人や島外の遊び好きが集まり「隠岐で遊ぶ」「佃屋で遊ぶ」をテーマに様々なイベントを開催している。佃屋のイベントを通して隠岐の楽しみ方を知る人、隠岐の楽しみ方のフィールドを広げる人も多い。

中でも人気なのが「お魚の会」。各自が釣った魚を持ち込んで、みんなでさばいて料理する。それを肴に直会を楽しむ。毎回20名以上が参加する人気企画だ。

開業4周年を記念して、「佃屋の庭で遊ぶ」をコンセプトに実施した「庭フェス」も隠岐のアウトドア好きや島外からのお客さんで大いに盛り上がった。

上記以外にも、様々なイベントやワークショップを行っているが、大将が企画するイベントだけでなくお客さんの持ち込み企画も多いという。

また「ごはんのおいしいゲストハウス」を目指して隠岐の食材をふんだんに使った新作メニューを日々開発。みんなでつくる共同調理も楽しい。

大将とお客さんとの距離が近く、お客さん同士も仲良くなっていく。旅行者が楽しんでいるところに島民も集まり、楽しい輪がさらに広がる。

佃屋を中心に旅行者・地元の人々がコミュニケーションをとり、隠岐の活かし方、楽しみ方を共有する。大将が思い描いていたゲストハウスの形に近づいてきている。

(M)