食で人を、島根を元気に!
「食改さん」この愛称で呼ばれる人達が島根県内に1800人いる。
食改さんとは、食を通して健康な地域をつくろうと活動している「食生活改善推進員」のことだ。今回ご紹介する頑張る人は、食改さん歴24年の宮本美保子さん。1800人の中心に立ち、島根県食生活改善推進協議会の会長を務めている。
大田市出身の宮本さんは、18歳で就職のため上京。大手スーパーの事務員として仕事をし、19歳の時に結婚。東京で3人の子供に恵まれた。
子育てに奮闘していた宮本さんだったが、家計が厳しく、日々のおかずやおやつを買うことにすら余裕がなかった。
「節約のために毎日おかずとおやつを手作りしました。きっとそこが食改になるきっかけだったと思う。節約のための手作りが子供たちの体には良くて。病気をせん丈夫な体に育ちました」と宮本さんは笑って話す。
その後、32歳の時に島根にUターンした宮本さんは、ご主人の地元、浜田市金城町へ移住した。4人目の子供が生まれ、子育てが落ち着いてきた平成6年、食生活改善推進協議会に入会。
どんな団体なのか右も左も分からず誘われるままに入会したものの、子供たちの食事を通して、健康な体は日々の食からくるものだと身を持って感じ取っていた宮本さんは、先輩達に負けまいと自ら率先して学び、入会1年後には支部長に就任した。
食改さん達の主な活動は、バランス食の普及や、料理教室、減塩活動、郷土料理の実習で、子供からお年寄りまでを対象に行っている。
しかし、近年までは「働き盛り」の世代を対象にした活動があまりできずにいた。働き盛りの世代は、日々の仕事に追われているため、時間をとって参加してもらうことがなかなかできなかったのだ。
そこで、宮本さんたちが考えたのが企業を訪問して行う食育教室。
企業の昼休みに食改が調理した料理を持って訪問し、社員と食改が一緒になって料理を盛り付け、食べながら食について学ぶ。「孤食が多くなっている中、若い世代の人達に皆で食べる事の楽しさや、地元の食の美味しさを感じてもらいたい」と宮本さんは話す。
参加者からは「素材そのものの美味しさを知った」「出汁をしっかりとることが減塩に繋がるとは」等、新たな発見に様々な声が上がっており、反応も良い。今後も続けていく予定だ。
宮本さんに「今までの活動で苦労したことは?」と聞くと、「苦労はありません」と笑顔で答えた。「活動を通して自分たちも健康になれる。幸せなことです。地元の食を通して人を元気に、生まれ育った地域をもっと好きになってもらうために頑張ります」と話す。
食が人を作り、人が地域を作る。宮本さんのバイタリティー溢れる行動は、これからの地域の元気に繋がっていくだろう。
(M)