島根で頑張る人

『島根で頑張る人』は県内で活動する人にスポットを当て、考え方や経験から活動に迫るコーナーです。スタッフの「学び」も兼ねて取材させていただいています。

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地域と共に、地域の福祉を支える

松江市法吉町久米にある特定非営利活動法人久米の家。地域の皆さんにとってのホーム(家)でありたいと、地域の福祉を支え、高齢者が穏やかに暮らせる生活の支援を行っている。

ここで、平成14年の法人設立当初から理事長をつとめるのが松浦さんだ。病院で介護職員として働いていた頃、病気の人と認知症の人とが同じ病棟でケアされていたことから、より認知症の人に寄り添った医療や介護が必要だと感じた。そこで、15年ほど勤めていた病院を早期退職して、高齢者のその人らしさを尊重し、地域と共に「いっしょに」「たのしく」「ゆっくり」「おだやかに」生活できる環境を作ることを基本理念に、同じ思いを持った5人のメンバーを中心に法人を立ち上げた。

現在はパートを含め30人の体制。3分の1の職員は開所当時からの職員で、5年、10年、15年の勤続表彰も行っている。働きやすく、自分自身が学んでスキルアップできる環境を提供することで、長く勤めてもらえる職場づくりに努めてきた。職員が定着することで、施設利用者や地域の人に、職員の顔を覚えてもらうことにつながっている。

介護保険に基づく事業の他にも、高齢者を地域と一緒に支えていく為の取り組みも行っている。認知症や介護に関する講演、年4回の機関紙の発行、地域の高齢者宅の見回り訪問、介護の相談対応、健康教室、お祭りなどだ。

例えば、地域の要望に合わせ、「介護予防体操教室」や「ギター演奏会」を行ったり、お祭りでは、地域の人、学生、協賛店など大勢が関わり、アイディアやモノを持ち寄って集う。「地域の人が普段から久米の家に関わっていて、顔見知り。それが強み」と松浦さんは言う。施設利用者以外の地域の人からも介護の具体的な相談があると対応し、「久米の家があるから安心」と思ってもらえるように活動を続けている。

心がけているのは自治会や公民館の事業に地域の一員として参加することは勿論、久米の家の活動を地域に知ってもらい、互いに情報共有すること。そして、認知症への理解者を増やし、認知症になっても住みやすい法吉町を目指している。地域の高齢者や職員それぞれを尊重し、地域とともに、地域の福祉を支える松浦さんの取り組みは、まだまだ続く。

(Y)