新型コロナウィルス感染症拡大防止に対応した
NPO法人の社員総会の開催の手引き
新型コロナウィルス感染症の拡大防止のために大人数が集まることを自粛せねばならない状況の中、定例の社員総会や理事会をどのように開催すべきか悩んでいるNPO法人は多いのではないでしょうか。
そこで、今回は社員総会の開催形態にはどのような方法があるのか、また、それぞれの形態において、どのような決議方法や注意点があるのか、まとめましたので、自団体の定款を見ながら、どの方法が自団体に相応しいのか検討してください。
社員総会の開催形態一覧(概要)
開催の形態 | 表決の方法 | 注意事項 |
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出席による社員総会 | ①出席 ②代理人(委任) ③書面表決又は電磁的方法 |
NPO法第14条の7※1に規定。ただし、③のうち、電磁的方法(メール等)を選択する場合は、定款への記載が必須。 また、議事録作成のために議長と定款で定める議事録署名人に必要な人数は実際に社員総会への参加が必要。 |
WEB会議・テレビ会議による社員総会 | IT・ネットワーク技術の活用 | 役員のみならず、社員(正会員)も発言したいときは自由に発言できるようなマイク等が準備され、その発言を他者や他の会場にも即時に伝えることができるような情報伝達の双方向性、即時性のある設備・環境が整っていることが必要。 |
みなし総会 (社員総会の決議の省略) |
書面表決又は電磁的方法 | NPO法第14条の9※2に規定。社員(正会員)全員の同意が必要 |
NPO法第14条の7 各社員の表決権は、平等とする。
2 社員総会に出席しない社員は、書面で、又は代理人によって表決をすることができる。
3 社員は、定款で定めるところにより、前項の規定に基づく書面による表決に代えて、電磁的方法により表決をすることができる。
NPO法第14条の9 理事又は社員が社員総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき社員の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社員総会の決議があったものとみなす。
Q&A
- 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、社員総会が開催しづらい状況です。社員総会の開催を省略することはできますか。
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NPO法人は、毎年1回必ず社員総会を開催することが義務づけられていますので、社員総会の開催を省略することはできません。
また、理事会の開催は、法律による義務ではありませんが、自団体の定款に記載があれば、開催しなければなりません。定款に理事会の議決事項として「社員総会に付議すべき事項」を定めている場合は、社員総会前に理事会の議決も必要です。
- 社員(正会員)が集まりにくい状況ですが、社員(正会員)が社員総会に出席せずに表決権を行使することはできますか。
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社員(正会員)の出席による表決のほかに「書面」による表決、また、「代理人(委任)」による表決が可能です。定款に定めていれば「電磁的方法(メール等)」による表決も可能です。実際に出席しなくても、社員総会への出席者数としてカウントすることができます。
ただし、いずれの表決方法の場合でも、議事録作成のために議長と定款で定める議事録署名人に必要な人数は実際に社員総会への参加が必要です。
- WEB会議やテレビ会議などのオンラインで社員総会を開催することはできますか。
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社員(正会員)が実際に集まらずとも、様々なIT・ネットワーク技術を活用することによって、実際上の会議と同等の環境が整備されるのであれば、社員総会を開催したものと認められます。その場合、役員のみならず、社員(正会員)も発言したいときは自由に発言できるようなマイク等が準備され、その発言を他者や他の会場にも即時に伝えることができるような情報伝達の双方向性、即時性のある設備・環境が整っていることが必要です。
また、議事録の開催場所として「オンライン会議システムによる開催」などと記載してください。出席者数には、内訳としてオンラインで参加した人数を記載してください。
- みなし総会(社員総会の決議の省略)とは。
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社員総会そのものを省略することはできませんが、NPO法では「社員総会の決議の省略」(法第14条の9)、いわゆる「みなし総会」が定められています。定款に記載がなくても、書面と電磁的記録により社員総会を開催せずに総会の決議があったとみなすことが可能ですが、社員(正会員)全員が書面又は電磁的方法により同意の意思表示を示した場合のみ決議することができます。
仮に全員の賛成が得られなかった場合や返信がなかった場合は、社員総会(決議)が成立しないことになりますので、社員(正会員)数の多い法人や期限までに全員の同意が見込めない法人は慎重な対応が必要です。
- それでも社員総会の開催を延期せざるを得ず、事業報告書の提出や納税を遅らせることはできませんか。
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まず、組織内でよく話し合ったうえで、客観的に見て合理的な理由がある場合は、所轄庁にご相談ください。
また、税務署への納税については、申告期限、納付期限の延⻑が認められています。税務署へは、申告期限後であっても、申告書を提出するときに、「新型コロナウイルス による申告・納付期限延⻑申請」と記載してください。
お問い合わせ先
- 島根県環境生活部
環境生活総務課 NPO活動推進室 - TEL.0852-22-5096
E-mail.npo@pref.shimane.lg.jp
- 公益財団法人ふるさと島根定住財団
地域活動支援課(しまね県民活動支援センター) - TEL.0852-28-0690
E-mail.chiiki@teiju.or.jp